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コラムⅡ
心に吹く隙間風
目次
心に吹く隙間風Ⅱその27
2.26事件については、実に多くの書籍を漁って読んだ。なかでも印象深いのは、やはり磯部浅一の獄中日記である。事件当事者の資料としても、一級品の貴重なものである。
敬愛する三島由紀夫もまた、事件に触発されるように、小説『英霊の声』を発表している。
『三島由紀夫と青年将校』
鈴木荘一
勉誠出版
実は当該事件と三島との関係はそれだけに留まるものではない。『三島由紀夫と青年将校』は、それについて解き明かしてくれる。
三島の高祖父永井尚志について、三島の祖母夏子について、ふたりの持つ因縁が、そのまま三島へと繋がっていく。そして、更にはそのことが2.26事件へと関係していく。
つまりは、三島は青年将校と切っても切れない縁を紡がざるを得なくなっていくのである。
鈴木氏は独自の史観を持つ人物である。例えば本著では、従前史観や司馬史観をチクリと刺している。そしてこれが実に小気味よい。
歴史考証には相当の忍耐が必要だ。合わせて、確実な資料との出会いも必要となる。裏付けのない論証などはただの戯言でしかない。
『戦後を辿る旅』
甲山羊二
まきば出版
僭越ながら、拙著も多くの資料にまみれながら書き進めた。それだけではない。実際に現地に出向いて、生の空気と声に触れてきた。
好評なのは、この上なく嬉しいことである。
刺激を受けながら書く・・・。チャレンジはそういう刺激から、始まっていくのである。
甲山羊二
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