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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その32
現在はストレス社会だという。では、過去においてストレスのない社会が存在したかどうかについて、そんなユートピアのような社会が実在したなどという話は聞いたことがない。ストレスをいちいち何とか症候群などと仕分けするなど、それも至極最近のことで、これは民主党名物の事業仕分けにも匹敵するものである。ここまで世の中が便利になって、しかも情報のやり取りなども瞬く間にできてしまうというという時代に、いくらストレスが蔓延しているといわれても、私などは全く理解に苦しむ。
ストレスは消えてなくなるものではない。だからそれを消し去ろうと躍起になることがそもそも不自然なことであって、だから余計ストレスが溜まるのだろう。ストレスはコントロールするものである。だから、自分をコントロールできない弱さを、勝手に全てストレスだと称して、しかもその発散を他人に向けるなどというのは人間のやることではない。
最近では、京都大学付属病院の元看護師が患者に重傷を負わせたという事件が報道されていたが、それもストレスによって犯行に及んだなどと自供している。元来彼女は看護師という職業に向いていなかったのだ。食いはぐれのない職業として看護師を選択したのかどうかは不明であるが、自分をコントロールできない人間は、どの社会でも或いはどの職業でも、結局は生きていくのが難しくなる。「むしゃくしゃしていて殺す相手は誰でも良かった」などと無差別に人を殺める鬼畜もその部類に入る。
これは私の実直な提案である。それほどまでにむしゃくしゃするのなら、まずは自分で自分を傷つけてみたらどうか。しかし、きっとそんな勇気はないのだろう。いやあるはずがない。
甲山羊二
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