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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その33

 広い世間において、私の目に特殊な人間と映る数種類の人たちがいる。なかでも、朝の通勤ラッシュ時に、堂々と足を組んで座席に座る人たちは、特殊中の特殊という部類に属する人たちである。携帯電話か、ゲームか、はたまた漫画なのか、個人の夢中が周囲に害を及ぼしているということに気づいていないというのは、まことに哀れとしか言いようがない。
 私は、文明の利器である携帯電話についても、またゲームや漫画という文化についても否定はしない。私だって、常に携帯電話を必要とするし、ゲームも楽しむし、漫画も読む。けれども、いくら夢中になるからといって周囲への配慮は忘れない。 まして、満員電車で足を組んで座れば、周囲にどのような影響を与えるかなど、ほんの少しの想像力があればわかることである。周囲への配慮に欠けた行動は、折角の漫画文化も、全く劣る文化へと変貌させるには十分なものとなる。
 想像力の欠如は創造力の欠如に直結する。見た目は大人でも、幼稚さを露呈していては、子ども以下である。いや、これでは善良なる子供たちにも失礼である。だから、私はそういう人たちを特殊中の特殊という部類に属するとして、特別な目で見て心の中で蔑むのである。

甲山羊二
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