牧場小屋
Top
コラム
心に吹く隙間風
目次

心に吹く隙間風その34

 やぶ医者という言葉がある。暗記力や記憶力共に最優秀であるにもかかわらず、資質が見合わないということで、患者から見下げられる医者を指すものである。実は、私にとってやぶ医者とはさらに広義な意味を持つ言葉でもある。例を挙げよう。
 ①素人に医学用語を並べ立てて満足する医者
 ②患者の質問に全く耳を貸そうとしない医者
 ③医者という職業に憧れを持ち続ける医者
 ④医者という権威に誇りを持ち続ける医者
 ⑤専門外を専門として取り扱う医者
 ⑥豪邸と外車と愛人に執着する医者
 いかがだろうか。上記の項目のひとつでも該当する医者は、私にとっては十分なやぶ医者である。
 先日、私は風邪をこじらせ、近くの医院に向かった。以下はその時の会話である。

医者「どうしましたか」
私 (診察前のアンケートを見れば分かる)「風邪です」
医者「熱は?」
私 (それもここに来てすぐに計っている)「36度7分です。平熱が低いので辛いです」
医者「医学的には37度以上が熱です」
私 (医学についての君の講義は必要ない)「では、この症状はこの辛さは何なのですか」
医者「広義の風邪かもしれません」
私 (こいつは広義のやぶ医者に該当する)

 説明と同意など机上の空論である。風邪だからと舐めてもらっては困る。はっきり言う。医者は合法的に患者を殺すこともできる。もう1つ。医者が考えるほど、患者は医者など尊敬してはいない。なぜか。理由は簡単である。広義のやぶ医者があまりにも多すぎるからである。

甲山羊二
←33章を読む 35章を読む→