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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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ああ言えばこう言え!Ⅱその2

 世の中うんざりすることが多い。電車やバスなどでのマナーの悪さもそうだが、眠ったふりをして心の中でひとりずつ片付けていくという新たな楽しみを心得てからは、うんざりさも少しは和らいだような気がする。こういうやり方も有りである。
 次にうんざりするものといえば、おびただしい迷惑メールである。一部アドレスを公開している加減で、これらのメールは致し方ないと半ばあきらめてはいるものの、しかしながらその数は減るどころか増える一方である。
 迷惑メールの主流は「出会い系」に関わるものである。もちろん胡散臭いものばかりであるから、本気で対処などするはずもない。しかし中には結構興味深いものも混じっていて、うんざりしながら楽しむという、これもまたひとつの心得だと僕はそう思っている。
 今回はその中のベスト3紹介したい。
第3位「これから伺います。だからすぐに私を抱いて!」
 この方は僕の居場所をご存知らしい。だからすぐにやって来ると言う。しかも抱いてあげなければならない。朝の通勤で疲れていて、こちらはそれどころではない。抱く暇があったら、静かに眠りたい。午前の重労働は遠慮したい。
第2位「あなたは神様です。だからすぐに私を抱いて!」
 この方にとってどうやら僕は神として崇める存在らしい。しかし、僕は神様ではない。もう一度言うが、すぐには抱けない。抱くのには、心と体の準備と、それにふさわしい場所が必要なのである。強制されるのはやはり遠慮したい。
第1位「お久しぶりです。だからすぐに私を抱いて!」
 この方は僕を知っている。しかし僕には覚えがない。ひょっとしてどこかで会ったことがあるのかもしれない。しかし、やはりすぐには抱けない。あまりにも急すぎる。しかも、この方は挨拶というものが何ひとつわかっていない。普通は「お久しぶりです。お元気でいらっしゃいますか」である。非常識な人間は嫌いだ。さよなら。
 うんざりするものも、ちょっとしたコツで楽しむことができる。たった一度の人生である。今日も大いに楽しもうと考えている。
甲山羊二
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