牧場小屋
Top
エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次

ああ言えばこう言え!Ⅱその4

 忘年会や新年会、はたまた歓送迎会のシーズンになると、先ず間違いなく登場するのが、泥酔状態のサラリーマンたちである。目は虚ろで、足元はふらつき、おそらく意識は遥か彼方へ飛んでいる。それでも最終電車に乗り遅れまいと前へ進むもうとする。だが進めない。それでも必死で進もうとする。そして直前で撃沈する。こうして戦いは完全に終わる。
 僕もお酒は大好きである。ここ最近は仲間で飲むことなど滅多にないが、若い頃はいろいろ失敗したものである。そして多くの人に多大なる迷惑をお掛けした。この場を借りて謝罪したいと思う。しかし反省などはしない。人は大人になる過程において、周囲に迷惑を掛けながら自分なりの酒の飲み方を習得するのである。それが人生なのだと僕は思う。
 しかし二日酔いは最悪である。心から酒は止めようと誓う。本当に生きるのが嫌になる。たぶん僕が経験した二日酔いの回数だけなら、イチロー選手の安打数など既に超えてしまっている。ただそれも若い頃の話である。
 若い時の苦労は必要だ。同時に若い時ならではの失敗も必要不可欠である。そういえば、学生時代、誰がどの後輩を介抱するのか、その役割分担は飲み会前にしっかり決めていた。実はこれは先輩方から引き継いだ飲み会の心得だった。こうして失敗がいつの間にか笑い話へと形を変えていったのも事実である。
 若者よ。遠慮せずに飲みなさい。ただし、知っておかなければならないのは、共に飲む相手の度量だ。酒量ではなく度量である。度量ある相手と分かれば、遠慮せずに飲むのだ。

甲山羊二

←3章を読む 5章を読む→