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甲山羊二オフィシャルブログ
Writing by 甲山羊二
 オフィシャルページにある奥の部屋で、コラムでもなく、エッセイでもなく、もちろん小説でもない、ただのつぶやきをほんの少しだけ形にしようとする。
 僕がつぶやくことで僕自身が導かれ癒され納得する。
 それもいい。
 さすが典型的B型人間甲山羊二だ。
 だからいい。やはりいい。


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50年を読む
令和の今年は三島由紀夫没後50年の節目の年になる
それに因んで三島関連本が数多く出版されている…
ひとまず現在の時点で興味深いものをふたつだけ挙げておきたい

『三島由紀夫を巡る旅』
徳岡孝夫
ドナルド・キーン
新潮文庫

これは以前に中央公論社から刊行された作品の改題文庫化である
三島とドナルド・キーンの直接の交友はとても知られるところだ
三島の遺書二通のうち一通はキーン氏に宛てられていたとされる
徳岡氏は自決の当日に楯の会会員から手紙と檄を受け取った人物だ

両氏は三島作品所縁の土地を巡る

また時々にキーン氏の三島の人となりが語られる…
徳岡氏の記者ならではの緻密な文章がキーン氏の語りを引き立てる

奈良から津和野、そして松江へ…
名文が時間を忘れさせてくれる

『三島由紀夫1970』
文藝別冊
河出書房新社

三島由紀夫という人間を表から裏から評した論文集
三島自身の論文も収録されている

左右の三島評が網羅されていてなかなか興味深い…
資料として是非残しておきたい

没後関連本は11月25日の憂国忌前後まで続けて出版されるだろう
僕が読みたいもの
はっきり言おう…
それは楯の会会員が三島由紀夫をどう捉えていたか
事件をどのように受け止めたのか

事件前とその後で三島観に変化はあったのかどうか
客観的な視点はこの際全く不要だ

そういう著者とその著書との出会いを期待している
2020-10-18 13:31:56[491]


日本論並びに日本人論
『歴史の真贋』
西尾幹二
新潮社

西尾先生の著書はほぼ網羅した…
「月刊誌-正論-」に掲載された論文も全て目を通した
そしてこれまでの西尾論の集大成

所謂日本論並びに日本人論の総まとめというべきか
正直いって本書はその位置にあるものと僕は思う…

西尾先生の日本論は相当手厳しい

もちろん日本人論は正面からバッサリ斬り込んでくるから凄まじい

その根幹にあるものとは一体何か

それは紛れもなく西尾先生流の歴史観他ならない…

西尾先生は語る…
事実が歴史なのではないのだ
事実について異なる過去の人々の思考と信心と伝達の総和が歴史なのだ

日本人が如何に歴史に無知であるか
日本人が如何に日本について無知であることを延々としているか
過去についても
現在についても
もちろん未来的類推についても…

平和に胡座をかく
それを平和ボケと人は揶揄する…
但し揶揄する側もされる側もボケからの脱却を図ろうとはしない…
アメリカの狡猾さに気付いていて
も検証に至らない
歴史を裏側から見ようとはしない

敗戦国日本の側から世界見る視点を持とうとしない
西尾先生は私たちに怠惰を教える

本書に小林秀雄や三島由紀夫についての触れがあることも必見だ…
数年前の憂国忌での西尾先生の講演を思い出させる

日本の歴史はどこから始まるか
日本人の起源をどこに求めるか
それらの問に一体どう答えよう
本書は軽い文芸書では決してない

かといって重い専門書でもない…
本書は考える書だ
読んで考察をする
これ程有意義な読書は他にはない
2020-10-04 15:40:48[490]


響きと余韻
『間違われた女』
小池真理子
祥伝社文庫

名前は実に大切だ
殊筆名は誰の記憶にも留まった方がいい…
その意味において
小池真理子
こいけまりこ
コイケマリコ
KOIKE MARIKO
間違いなく誰の記憶にも残り易い

今般久しぶりに小池真理子の文庫を手にとってみた
一時小池作品を片っ端から読み漁ったことがあった
男女の心の機微…
いや心の絡み合い
ただただ淫靡な肉体関係にはそう簡単に走らない…
肉体の絡みではなく心の絡み合い

今でも小池作品に飽きてはいない

時々戻りたくなる
そこが魅力なのだ

本作もまた期待を裏切らなかった

舞台は「あとがき」により1988年

メールでなく手紙
携帯やスマホでもなく固定電話と公衆電話…
アナログな世界とパラノイアの男

時代が心地良く錯誤する
しかし筋はあまりにも陰惨な悲劇でもって結末する

人間の運命は分からない
人間はそうした不透明で不明確で不明瞭な複雑怪奇な中で生きていくしかない
本書はそのことを改めて教える…

それでも人間はやはり生きるのだ

小池真理子はそう語っているのか

自らの名前を大いに響かせながら


いやいや違う…
記憶に残るのは名前だけではない

何ともいえない独特の余韻が本書から漂ってくる
小池真理子の世界はやっぱりいい
2020-09-21 18:59:21[489]


戦後を辿る旅
9月1日に拙書『戦後を辿る旅』が甲山羊ニの個人レーベルまきば出版から刊行された

日本にある戦跡を僕自身が訪れ、それを紀行としてではなく小説としてまとめ上げた

各戦跡ごとの短編小説の集合体だと考えてもらえれば都合がいい

旅は靖國神社参拝から始まる…
英霊に頭を垂れる
ここから知覧へ…
そして万世へ
また鹿屋へ
旅は広島から長崎、更に舞鶴から兵庫県加西を経て、極東国際軍事裁判法廷へ、そして大阪へと続く

ひとまずの旅の終着は沖縄だ…
伊江島から本島へ
旧海軍司令部壕内で敗戦の屈辱に身体を震わせる…

終戦ではなく敗戦
これはこれまでに僕が執拗に口にしてきたことだ…
記念ではなく屈辱
敗戦屈辱日を終戦記念日とする腐敗した歪曲こそが現代日本の平和ボケ現象を形作ってきた最大の要因に他ならないのではないか…

こういう記述をすると必ず人は甲山をこう評する…
奴は右翼作家だ
奴は好戦作家だ
奴は平和を破壊する扇動作家だ
などなど…

評価は有り難く頂戴しておこう
そして世の中の暇人共に拍手喝采を返礼しておこう
そこにしっかり弔辞を込めつつ…

今年は敗戦から75年の節目の年
その年に適って拙書を刊行する
この喜びは他に喩えようがない

旅はまだまだ続く
いや実際に続いている
真の鬼畜とは何かを考えながら…
それに強い憤りを覚えながら…
この世に生きている限りこの旅は延々と続いていく

そして…
『戦後を辿る旅』
その続編もまた当然範疇にある
2020-09-05 14:22:53[488]


読者への挑戦
『不連続殺人事件』
坂口安吾
新潮文庫

安吾の写真を見た人は必ず言う…
作家は実に不潔で貧乏で職業だと

そんなことはない
でも安吾にはお洒落は似合わない

お洒落の似合わない安吾が極めてお洒落に綴ったものがこの作品だ

しかもおまけ付き
読者への挑戦状…
受けて立つのもまたお洒落である

江戸川乱歩や松本清張も驚愕絶賛したとされる「不連続殺人事件」
はっきりいって推理小説でありながらそれを超えてしまっている…

ここはネタバレ禁
やはりここはお洒落に本を手にとってもらいたい…

追記としてひとつ
坂口安吾は小説も当然素晴らしい

だがしかし随筆はそれ以上に良い

島崎藤村を徹底的にぶった斬る
夏目漱石を味噌糞にこき下ろす
辛口以上の超辛口が僕には合う
お勧めしておこう
『堕落論?日本文化私観』
岩波文庫
2020-08-17 00:46:02[487]


石井妙子の世界
石井妙子という人
綿密な調査に裏付けられた名文…

『おそめ』は彼女の最高位の作品

伝説の銀座マダムに目を向けたその付け所も良い…
まるで小説のような評論
押し付けのない文脈と脈絡の連続


『原節子の真実』
石井妙子の世界を確立させた名著

暴露でも露呈でもない…
映画人原節子ではなく一市民原節子に寄り添うように迫る
小津作品をもう一度観るきっかけを与えてくれた

そして『女帝 小池百合子』
生きとし生ける人にも明確に焦点を絞り切る
そこから切り込む
証言者を蔑ろにしない
小池百合子が見えてくる
但しここでは…
僕の小池百合子評は避けておく
ただ一言
劣化した昨今の日本人を上手く欺くのは然程難解なことではない
加えて…
日本人の劣化は何も今に始まったことでもないが…

石井妙子女史へ…
彼女に要望したい
身内には甘々の、汚染尽くされている様子の大阪府警を暴けるだけ暴いてもらいたい
麻薬にまで侵された大阪府警巡査

入れ墨を入れた大阪府警巡査の実態を暴くのもよい

更には
橋下徹(はししたとおる)を掘り下
げるのもいかがか
小池百合子以上に興味深いのだが

それもこれもやっぱり下衆の期待に過ぎないのか
兎にも角にも
今後の石井妙子の世界
その広がりに期待したい
2020-08-03 00:15:41[486]


再び松本清張
『或る「小倉日記」伝-傑作短編集2』
松本清張
新潮文庫

松本清張のデビューは意外に遅い
41歳で懸賞小説に応募…
44歳で芥川賞を受賞する
その受賞作品が表題になっている
「或る「小倉日記」伝」である…

流石芥川賞作品だなどとは敢えて決して言わない
この作品は芥川賞作品だから傑作なのではない…
松本清張の世界が凝縮されている


松本清張の世界
それは日本人が持つ心情風景を見事に描写したものに他ならない
しかも日本の各土地の風土に根ざした心情描写…
決して一律でない風土と心情が人間の行動をその都度決定していく

清張作品は日本人を知る上での資料ともなり得る

今回は恣意的に作品名を挙げない

とにかく読む…
そして洞察する
日本人とは何か
そして自分とは何者かについてを
2020-07-20 00:00:07[485]


驚異と怪異
「驚異と怪異」
兵庫県立歴史博物館

驚異と怪異を観に姫路に行った
白鷺城の裏手にある歴史博物館
周囲の閑静さと館内の静寂さに比してモンスターの皆共は実に生き生きとしていた…

人間の創造の威力は凄まじい…
それによって生み出されたモンス
ターはその形状などに関わらず伸び伸びとしている

それは確かに驚異かもしれない
また怪異の象徴だと言える要素まも多分に含まれる
しかし驚異も怪異も結局は人間の心中に潜み機能し続ける物体であり物質他ならない
つまりは本体は架空のものなのだ

更に付け加えると…
それは人間を超越したように見せかけて決してそこには到達しない

むしろ人間に寄り添う為にある
それがモンスターの存在意義とその価値なのではないだろうか…

驚異も怪異も人間に生きる上でのある意味の抑止を与えてくれる
それは人間自身が求めたものだ
人間はこうすることで自制を覚え
てきたのだろう

現代人はどうか
驚異も怪異もないのではないか
そうなれば自制なども当然ない
モンスター欠如は人を朽ちさせはしないだろうか
怖いものなし程怖いものはない
それに無関心な程怖いものはない
僕はそう思う…
2020-07-06 00:44:22[484]


政治と祭り
『国賊論』
適菜収
KKベストセラーズ

政治と祭りには一切関わらない…
これは一貫しての僕のスタンスだ

但し誤解のないように急いで付け加えておくが…
政治に全く興味がない訳ではない

良い有権者は良い納税者でもある

納税者のひとりとして政治をしっかり見届ける…
見届けることは不要な関わりには結び付かない
不必要な人間関係にも関わらない

だから祭りにも相当距離を置く

では納税者として見る最近の政治は如何なものか
武漢肺炎の蔓延という有事に対して政治は一体どう対処したのか
結果は実に見事なものだった…
血税は安物のマスクに変わった
血税は運転資金も回転資金も無い趣味運営の飲食店等に給付金としてばら撒かれた
血税は委託先の裏金に回された
結果は官僚どもの愚鈍を晒した
武漢肺炎の蔓延という有事に対して納税者は見事に馬鹿にされた
納税者として見る最近の政治は輩の独壇場だった

納税者を愚弄する政治家も官僚どもも皆残らず国賊に他ならない
パフォーマンスに騙される国民も国賊に飼いならされた屑となる

本書は実に爽快だ
単なる感情論に終始しない
武漢肺炎なども吹っ飛んでしまう
本書はゲーテの言葉を引用する…
「活動的なバカより恐ろしいものはない」
活動的なバカとは一体何者なのか

自らをバカと認識できない人間
僕はそう理解する

ところで
武漢肺炎について
その蔓延と渦中にいる人々とその言動はやはり興味深いものがある

人間世界にある不条理と不合理
見えないものへの畏怖と恐怖心

『ペスト』
カミュ
新潮文庫

薄っぺらい絆だとか医療従事者への意味不明な拍手をどうこうする前に読むべき一冊がここにある

話を変えよう…
安倍総理を見ていてつくづく思う

やはり漢字の読み書きは重要だと

この人にカミュは読めやしない
読了などはもはや奇跡に近い

しかしながら
また一方では
日本は平和だ…
漢字の読みに乏しい人間も総理になれるのだから
日本はまだまだ夢と希望があるのだとつくづく思わされる
2020-06-22 00:29:28[483]


松本清張-短編の世界-
『黒地の絵-傑作短編集1-』
松本清張
新潮文庫

短編小説は凝縮されたなかにも、人物描写と心理描写を織り交ぜ、巧みに表現しなければならない…
それを超越した作品だからこそ、
傑作の短編と評価されるのだろう

僕には松本清張はお馴染みのはずだが実はお馴染みではなかった…
彼の短編小説をなおざりにしてしまっていたのだ…
今後は反省の意味を込めて傑作短編集をじっくりと読んでみたい…

今回は傑作短編集1

以下はあくまでも僕の恣意による極厳選作品として…

「二階」
これはとてもいい
短編のお手本だ…
だからといって真似などはしない

表題にもなっている「黒地の絵」
これは朝鮮戦争を背景にした作品

松本清張の世界が十分味わえる…
米軍小倉駐留師団から話は入る…
祭りの太鼓のリズムを契機として横暴の限りを尽くす黒人部隊兵…
役立たずに終始するMPと警察
A?G?R?Sでの日本人労務者差別
戦場最前線に立たされる黒人兵…

まだまだある…
ここは出し渋る

松本清張という作家が作品の執筆ごとに膨大な資料を収集したことはよく知られる
その度に神田の古本屋群からおびただしい在庫資料が無くなっていったのだとか…
まずは時代考証を決して怠らない

だから書ける…

松本清張の世界
まだまだお馴染みではなかった…
反省もまた次の勉強に繋がるのだ
2020-06-08 01:14:46[482]