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コラムⅡ
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風Ⅱその2

 暴走が大流行している。暴走自動車に暴走自転車、さらにそこに暴走人間までが加わって大騒ぎである。自動車も自転車も、所詮は人間の作為によらなければ動きようがない。つまりは、暴走人間がそれらに深く関わっている。これが僕の極めて単純な見解である。
 暴走人間で少々たちが悪いのは、世間でいうお年寄り軍団である。私たちにとって人生の大先輩であるわけだから、敬いの気持ちを持つのは当然ではある。しかし、そういった気持ちを持つに至るのも、やはり相手次第というのが筋だろう。着メロ垂れ流しや、車内での大声通話、挙句の果てには、隣人に向って突然怒り出す始末である。訳がわからないどころの話ではない。自分で自分の命の始末くらい、きっちりつけてもらいたいと、つい願ってしまう。敬いの気持ちなどとは程遠い。
 一方で、こうした暴走老人を目指す人たちもいる。いわゆる予備軍という奴である。この間も、有名私立中学の生徒たちが予備軍にイチャモンをつけられているという光景に出くわした。騒ぐわけでもない。暴れるわけでもない。車内でお利巧にしている彼らが、予備軍に言いがかりをつけられているのだから、これもやはり訳がわからない。どこの会社員か、何を営業しているのかは知らない。しかし、物を売らずして、中学生にけんか売る。こうした輩たちは明らかに日本経済のA級戦犯である。スマホの使い過ぎか、ゲームのやり過ぎか、いずれにしても原因は不明である。
 ここで百歩譲ろう。たとえ暴走しても責任を全うするだけの覚悟があればいい。暴走したら逃亡する。その程度の覚悟だから、やはり迷惑極まりない。子どもは大人を見ている。なかには予備軍に夢を抱く者も登場しかねない。こうした蔓延などまっぴら御免である。
甲山羊二
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