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コラム
心に吹く隙間風
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 心に吹く隙間風その4

 募金や献金という言葉には、何やら胡散臭いイメージが付きまとう。
特に、街頭の募金活動については、それに関わる者から怪しい臭いがプンプンしてならない。
そもそも募金活動それ自体に、このような怪しい臭いがプンプンするのだから、真に怪しい募金活動からは、ぶっ倒れるくらいに怪しい臭いが、これまたプンプンするのだろう。
しかし、世の中には、怪しい臭いを漂わせずに、怪しいことを何食わぬ顔でやる人間がいるもので、怪しい募金活動も、それに関わる人間は、良くできた消臭剤でも撒き散らしながら、結局はうまくやっているのだろう。
 私の妹が未だ小学生だった頃のこと、彼女は自分のお小遣いから10円を街頭募金にお捧げしたことがあった。
その時、募金箱を持ったおばさんが妹に対して、「募金は100円からなのよ!」と叫んだのである。汗臭い上に、例の怪しい臭いがプンプンプンプンするおばさんだったことを、今でもはっきり覚えている。
犬のウンチを踏み潰したような表情のおばさんだった。
 募金活動をおやりになるのは自由である。
怪しいものでもうまくやればよい。
しかし、最初に他人の金を当てにするなら、最後のフォローにも最善を尽くすべきである。
募金活動をした同じ場所でしっかり情報を開示し、礼を尽くすべきである。
 数年前、難病に苦しむ小学生の女の子を助けるべく、募金活動が行われているのを見た。
それから数ヵ月後、その同じ場所で『皆様本当にありがとうございました』と、すべての情報を開示して礼を尽くしている情景に出くわした。
女の子の命は救われたのである。
 謙虚に募金活動をしている人もいる。
謙虚さからは怪しい臭いなどしない。
犬のウンチにも謙虚さが必要なのである。
甲山羊二
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