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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その49

 日本は破壊構造の上に成り立つ国家である。もちろんこれは環境や風土のことである。地震や津波はもちろん、あらゆる自然災害は、この国の緩やかな環境とはまた別の、全く異なる厳しい側面であることには違いない。だからこそ、将来を見据えての展望について、ある限りの知恵を絞って、議論し尽くし、さらに実践していかなければならない。雨は天の恵みではあるが、命を落とすような恵みはいらない。しかし、それが現実であるならば、そこにも人間の知恵は当然必要になる。こうした、日本の環境や風土を置き去りにして、知恵よりも利益、さらなる利権となるから、私たちは怒るのである。
 全くもって、この世の中に安全な物事など存在しない。商店街で買い物しようとすれば、違法ドラッグで頭が混乱し過ぎた馬鹿者によって殺されかける。あるいは、観光地であっても、爆走する意味不明な自動車によって、どうなる始末か先が見えない。しかし、それらは日本の環境や風土とは無関係である。法律によって徹底的に取り締まれば、絶対とまではいかなくても、ある程度のリスクは軽減できる。
 原発を稼動させたければするがいい。しかし、専門家以外の人間はそれについて無能であるから、そんな知恵は必要としないというのは言語道断である。原発再稼動から間もなくして、燃料費を理由に火力発電を停止するなど、やることがあまりにも幼稚すぎるのではないか。それでもって、「計画停電を実施する予定です」とは、わがままなガキどもと何ら変わらない。
 生レバーをガタガタとイチャモンつけまくって取り締まることより、説明責任を果たさなければならないことは山ほどある。政府がやらないから企業もやらない。いや、企業におんぶに抱っこだから政府がやらないのか。知恵を絞るより利権を貪り合う方が、どうやらお互いに楽しくて仕方なく、どうも止められないらしい。

甲山羊二
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