シンデレラストーリーとくればあるサクセスストーリーを連想させる訳だが…
日本版シンデレラストーリーといえば落窪物語があげられるだろう
日本の数ある古典の中でもこれは僕のお気に入りのひとつでもある
継子いじめは行き過ぎれば事件になりかねない
そこで事件になる前に復讐を企てそれを実行する機会を密かに窺う
そしてチャンスとくれば一気に計画を実行する
そんな小説を一つぐらい書いてみようと僕も密かに構想を練っている
継子いじめの逆襲に限らず復讐もあからさまでは実行する側の品格を低下させる
やられたら倍返しではなく相手への精神的ダメージを優先させる
聞くところによると本当の復讐は復讐すべき相手に手を加えることではないらしい
その相手が愛し慈しむものを突然喪失させてしまう
この喪失感は相手の戦意をも喪失させるほど威力があるという
もうひとつしたたかなやりかたもある
復讐ではなく徹底した愛を注ぐ
復讐する力を相手への愛という形に変えてしまうやり方だ
これこそまさに落窪の君
相手は油断どころか次第にこちらの支配下となっていく
時間はかかるけれどもつまらない相手を相手にしないという省エネ法はなかなかおすすめかもしれない
かつて僕をいじめた相手とばったり居酒屋で再会したのでその日の勘定はすべてこちら持った
さらに行きつけのバーに招待して家族への高級寿司の土産まで持たせてタクシーでお見送りまでしてやった
その日僕はとてもいい人になった
というのは全くの嘘だ
僕のようないい加減な人間にそんなことはできない
そんな相手を見かけたら徹底して知らない振りをする
それが僕の流儀だ
僕はシンデレラでも落窪の君でもない
根に持つ相手はいなくもないけれど相手にしたいとは思わない
これも僕の流儀なのだ |