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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その12

 今年は偽装に始まり偽装で終わるという、全く偽装的一年であったように思う。
特に鶏好きの私にとって、比内地鳥の偽装はこの上ない衝撃であった。
それはなじみのスナックのママから突然絶縁宣言を突きつけられた程の衝撃である。
比内鳥も相当ショックを受けたに違いない。
なぜなら比内鳥から一通の手紙を受け取ったからである。
その手紙の内容に、私はさらなる衝撃を受けてしまった。
私は比内鳥を何とか説得し、この手紙を公開することに決めた。
それによって比内鳥や赤福のあんこたち等などの気持ちを一人でも多くの人に知ってもらおうと考えたからである。

『比内鳥の藤原誠一社長パパへ
  ねぇねぇ、ちょっと酷いんじゃないのよ。
私たちの名前を勝手に使ったりなんかして。老いぼれ鶏の古びた肉を堂々と販売するなんて。
ほんとパパったらサイテ―!
ムカツクったらありゃしない。
謝罪会見にも姿を見せず、ようやく現れたかと思ったら、「死のうと思って彷徨っていました」なんて、よく言えたものよ。
呆れて開いた嘴が塞がらないわ。死ぬ気なんかちっとも無かったくせに。
パパったらいつも逃げてばかり。私たちのことなんかどうでもよかったのよ。愛してるなんて嘘ばっかり。
手前味噌だけど、私たちは一応ブランドなのよ。これですっかり傷もの。私たちのこと信じてた消費者に対してもホント気の毒よ。
ファンあっての私たち。もうパパとは絶交よ。この嘴で思いっきり突いてやりたいわ。とにかくさよなら。
貸していた羽根、一日も早く返して!
本物の比内鳥より』


 まさに衝撃の内容である。この手紙が何故私の所に送られてきたかについては、ご容赦願いたい。

甲山羊二
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