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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その27

 総選挙が終わり、政権交代が実現することとなった。惨敗した政党については、誠にお気の毒というべき結果になった。
主権者である国民の関心を引くには何かが不足していたに違いない。その何かを気付くのか気付いていないふりをするのかで、その政党の運命は大きく分かれることになるであろう。
一方で、勝利した政党についても、それを一時的なものとするのではなく、公約を実現するための最大限の努力が必要である。
そもそも、いずれの政党についても、完全なる公約などない。公約は契約ではない。一方的な破棄があっても、それを訴え出る場所はどこにもない。
せいぜい可能性を理路整然とさせたもの、付け加えれば中より上程度の文書というもの、それが公約であろう。
 個人的には、今回の選挙での不満は、国防についての積極的な議論が皆無に等しかったところにある。平和の上に成り立つ本来の生活、その平和がただ一方的に与えられるとするのは稚拙であり幻想であるというのが私の考えである。
平和とは積極的に作るものであると同時に積極的に守るものでなければならない。ただ一方的に与えられた脆弱な平和にどれだけの価値があるといえるのだろうか。そしてそれがいつまで続くといえるのだろうか。
そこに価値を見出そうとするこじつけにはうんざりせざるを得ない。
 新しい政権に期待することなどはほとんどない。しかしながら、多くの主権者は政権が新しくなることを選択した。
誕生した新政権の運営を静観するのも、民主主義に生きる国民としての大人のあり方であると考える。
まさにドラマを観るような思いでいる。

甲山羊二
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