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コラムⅡ
心に吹く隙間風
目次
心に吹く隙間風Ⅱその23
数か月前のこと、大阪で警察官が男に刃物で刺され、拳銃を奪われる事件が起こったことはまだ記憶に生々しい。容疑者が捕獲されるまでの間、事件のあった近辺は厳戒態勢が敷かれたが、翌日に犯人の男は逮捕、拳銃も押収されたとのことで、ひとまずのところ結果としては一件落着と相成ったという訳だ。
メディアでは傷を負った警察官の無事を祈る報道が繰り返されたが、市民の命を守る警察官とあろう者が刃物で刺され、挙句に拳銃を奪われるなどという、あってはならない誠に馬鹿げた出来事を、憤りをもって報道した形跡などは全くといっていいほど皆無だった。
ここではっきり言おう。警察官のこの体たらくは一体何事なのだろう。拳銃を奪われるなど、武士が刀を敵に奪われるに匹敵する、実に愚かしい出来事他ならない。警察官としての資質を疑うと同時に、人間としても極めて無責任だと言わざるを得ない。市民の治安を守り切れず、逆に不安を与えた責任は重く、その命に換えて謝罪の意を示すべきではないのか。それを救われる命だとする甘ったれた報道は、現代日本の気質を反映しているものと、逆に低い評価を下すべきだと思う。
甘えは堕落を生む。堕落は崩壊へと繋がる。口先だけの謝罪や反省が横行する昨今、そしてそれを簡単に許し、簡単に見過ごす風潮、ここに大きな落とし穴が潜んでいることに、一体誰が気付いているのだろうか。もちろんスマホにゲームでは誰も気付きようはない。
仕事に油断は禁物だ。仮に失敗をしでかした場合、それが重大なことであれば潔く腹を切る、その毅然とした態度と覚悟がプロは必要ではないのか。緊張の無いところに何も生まれない。似非プロなどいらない。それは国民にとって全くもって迷惑千万なだけなのだ。
甲山羊二
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