牧場小屋
Top
コラムⅡ
心に吹く隙間風
目次

心に吹く隙間風Ⅱその4

 スマートホンを含めた携帯電話による犯罪が増加している。またそれらへの強い依存についても社会問題となっている。特に若年層にその傾向が多く見られるという。確かにそうとも言える。しかしここでマイナス要素を挙げてみても結局切りがない。物事には必ずプラスの要素も含まれている。いずれにしてもものを見る視点のバランスはとても大切だ。
 携帯電話についてのモラルはもはやそれを用いる個人の人格の問題だと僕は思う。人格は環境によって育まれる。それを整えるのは学校の先生ではなく親である。親の責任の下での躾は極めて重要なものだ。携帯電話について若年層の問題は、そのほとんどが親の躾の結果ではないかと僕は本気で考えている。
 大人を見ればよくわかる。車内でマナーモードにしている人間の少ないこと。またゲームに没頭し続けるあの幼稚さは、ある種のマスターベーションと変わらない。躾ける者が中途半端だとああいう大人が見事に完成する。
 携帯電話は時に自分の生命と他人の生命の両方を救済する有能な道具になり得る。軽蔑の対象となる大人は放って置いて、せめて無能ではない有能な大人は、モラルを実践して見せ続けなければならない。そういう有能な大人が人の親であるならば、どうか子どもにはその使命としてマナーとリスクも徹底させてもらいたい。建前中心の学校に躾の全面委任などもってのほかである。やはり本当の躾は飯を食わせる親にしかできないはずである。

甲山羊二
←3章を読む 5章を読む→