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コラムⅡ
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風Ⅱその5

 今日は極めて都合のいい枕言葉なるものをぜひ紹介してみたいと思う。それは「風の噂で・・・」というものである。そもそも風が噂などするはずがない。また風が噂を運んでくることもない。噂をするのも、それを運ぶのも人間なのだ。そうした当たり前のことを知っているのか、真に知らないのか。こういった枕言葉を平気で使う人間の神経が僕にはよくわからない。さらにはこれによって先ず良いことは何ひとつ伝えられない。言葉にしにくいことをわざわざ婉曲しているだけである。
 例えば、こうした枕言葉を使った言いがかりが、組織の上層部から出たなら、それはそれで大事件である。その上層部の人間は、インテリでも何でもない。ひょっとして、インテリの着ぐるみをまとっている可能性がある。着ぐるみならまだいい。これが屍的となれば、当該組織は近々に破滅する可能性が高い。こうした人間を管理職として据えておく能天気な組織はやはりどうかしているのである。
 言いたいこと、言うべきことがあるなら、真摯にそう言うべきである。こういう人間の最も醜いのは、言いたいことも言うべきことも、全て影で「こそこそ」「うじうじ」「ねちねち」言うところである。それでいて本人は社会的立場を保っているのだと勘違いしているのだから、これは全くもって滑稽で哀れとしか言いようがない。だから僕はこうした人間には近づかない。ビジネスで止むを得ず接近しても当然心は完全に離れている。グローバル社会での人間関係などはこの形式が丁度良い。

甲山羊二
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