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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その35
またかという気持ちでどうにもやるせない。6月22日の早朝、広島県のマツダ工場で起こった無差別殺傷事件。
巻き込まれた人たち、特に尊い命を奪われた方のご家族の心情は察するに余りある。容疑者の引寺利明が派遣社員であったとか、期間社員であったとか、色々な報道がなされているが、彼の社会的立場については特に問題があるとは思えない。
派遣社員や期間労働者など五万といるわけで、その人たちが全て引寺容疑者のような凶行をやらかす可能性があるという一部の報道には、はっきりいってうんざりするより他はない。
近所の人たちは「地味でおとなしかった」と引寺容疑者について語っているが、「派手で凶暴だった」のであれば、特に危険人物としてマークされていたはずである。
その意味では「地味でおとなしい」人物にも大いに危険が潜んでいるということになり、そのような人間が善良な一般市民に混じって生活しているという事実は、実は日本は無法国家なのかと疑いたくなってしまう。
私がそう疑いたくなる理由は他にもある。無差別殺人につきものの、例の責任能力や判断能力の有無という問題である。責任能力がないということで無罪放免、本来なら殺人罪に問われて極刑止むなしという人物も、結局は再び善良な一般市民に見事なまでに混じることになってしまう。
檻に入れて監視をつけて、せいぜいバナナと水を与えるという訳にはいかないらしい。
はっきり言って、こんな程度の奴に命を奪われたくはない。こんなことなら殺され損である。
殺した人間がうやむやになるような判決は聞きたくもない。そんな司法なら必要ない。
甲山羊二
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