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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その39

 「理解に苦しむことが多い昨今」とは、まさに前回のコラムの表題であったが、理解に苦しむのは、何も国内の事件や事情だけではない。尖閣諸島領有権の問題で、日本と中国との関係が険悪な状態だとされているが、日本固有の北方領土を強奪したままのロシアに続いて、中国もそれに匹敵して全くもって訳のわからない国のひとつである。これも大いに理解に苦しむ。
 歴史を歪曲し捏造する手腕では、中国の右に出る国はない。第二次世界大戦の戦勝国でもない中国が、国連の安保理常任理事国に名を連ねながら、都合によっては未だ発展途上国だと言い切るその巧妙さには呆れるばかりである。それに翻弄される日本もいかがなものかと思うが、歪曲と捏造に喝采を贈る政党が政権を掌握しているのだから、しばらくは受忍する以外に道はない。それとも、極めて自己中心的、いやそれ以上のまさに病的な中国とは、心で笑って腹で見下げるくらいの強かな付き合いも必要なのかもしれない。賢い国際関係は国防の第一歩である。
 この賢さは国内のある局面にも十分適用可能である。最近ではビジネスとサービスを取り違えたかと思われるような出来事に出くわすことが多い。お客を平気で並ばせて待たせるビジネスがそのものサービスだと評価されるのはその典型的な事例である。さらにクレームに対して逆切れするなどとはもっての他である。一方で、そんなビジネスの恩恵を受けざるを得ない自分にも腹が立つ。ここは、心で笑って腹で見下げ、ただただこちらに都合の良い部分だけで適度なお付き合いに終始する。
 流石、中国から学ぶことはある。学びには強かさも必要なのである。
甲山羊二
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