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コラム
心に吹く隙間風
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心に吹く隙間風その43
日本の国土は破壊的な土壌の上に成り立っている。その意味では、天災はいつか必ずどこかで起こるとの予測の下で、私たちは生活を続けなければならない。その予測と、起こった後の対応の不備は、天災の域を超えて人災というレベルにまで一気に引き上げられることになる。
例えば、天災後の復興は当然急務なことである。しかし、その際に本質的な議論が避けられてしまうとなれば、日本という国家においては、破壊と再生を単純に繰り返すだけという、極めてお粗末な復興を目指すしかないということになってしまう。なされなければならない議論は、人災の領域をどこまで狭められるかということに尽きるはずである。それが皆無なのである。
どこまでが安全かを御用学者に語らせたところでほとんど意味をなさない。これは、国民の声を完全に無視した、彼らの自己満足かつナルシスト的な話題提供に過ぎない。重要なことは、どこから先が危険かを明確に示した上で、それについてどのような対策を必要とするのか、時間的に物理的に優先順位を決めた議論をすることである。もちろん、密室の議論など必要ない。不得意なディスクローズを無理にでも得意にしなければならない。
専門用語も要らない。国の税金の結末が、御用学者の立て板に水の説明と、専門用語の羅列ではどうしようもない。それこそ、税金を溝に捨てるようなものである。
甲山羊二
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