牧場小屋
Top
コラム
心に吹く隙間風
目次
心に吹く隙間風その45
キャリーバッグの横暴なコントロールが目立つ。自転車の乗り方のマナーの酷さは、これまでに何度も指摘されていることであり、現実に事故も多発している。かつて私もその被害者のひとりになった経験があるから、この事実は自らの身体でもって十分理解している。
最近は路上の自転車に加え、駅構内でのキャリーバッグのマナーの悪さがこれまた目立つ。もちろん、キャリーバッグそのものに問題があるわけではない。それを下手にコントロールする人間の側にこそ大きな問題があるのである。
人の足の上を平気で通過させる。突然停止し人を横転させる。通行の邪魔になる所に放置する等など、これらはギャグにもならない。酷いのはそれが平気で行われるという現実である。謝罪どころか、逆ギレする始末である。むしろキャリーバッグの方が申し訳なさそうにしているように見えて仕方がない。本末転倒も甚だしいとはまさにこのことである。
ゲームに夢中になる。或いは携帯電話の虜になる。それでもってホームから転落してしまう。これらは単なる自己責任で、こちらは列車の遅延による延滞証明一枚で事足りる。
心の中で「間抜けの野郎」と何度も叫んで、それで冷たいビール一杯で心も晴れてしまう。
しかし、キャリーバッグはそうはいかない。その程度の脆弱な身体能力しか持ち合わせていないのなら、キャリーバッグなどとは金輪際きっぱりと縁を切ったほうが良いように思う。
瑣末といえばそうかもしれない。いや、それでもやはり見逃すわけにはいかない。なぜなら、これらは大げさに言えば人命にかかわること、そして簡明に言えば周囲に精神的苦痛をもたらせかねないからである。
甲山羊二
←44章を読む 46章を読む→