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- その21~その40
心に吹く隙間風Ⅱその1
悪人は必ず善人の面を下げて人に近づいていく。聞くところによると、「オレオレ詐欺」が影を潜め、今度は新手の詐欺が横行しているという。高齢者に社債を購入させ、約束の配当を数回振り込むだけで、その後は姿をくらます。言葉巧みに金を巻き上げるやり方は、従来からある悪質な詐欺と何ら変わらない。
ある報道番組で、騙したとされる詐欺会社の社長なる人物を直撃していたが、いくらモザイクがかかっているとはいえ、話す内容は稚拙で幼稚で詭弁以外の何物でもなかった。この程度の弁解なら、幼い子どもにでも十分できる。結局は輩は輩でしかないのである。
一方で、騙された人の映像を見て、気の毒だと思う反面、言葉は悪いが、少々能天気過ぎるのではという印象を持った。社会の白黒もわからない若者ならまだしも、人生の酸いも甘いも十分に噛みしめた人生の先輩たちが、いとも簡単にコロリと騙されてしまう。厳しい言い方かもしれないが、これでは行儀の悪い若者に対して、面と向って叱ることなど土台無理である。教訓を垂れることももちろん止めて欲しい。「自己責任」という言葉を今一度しっかりと噛みしめるべきであろう。
僕は滅多と人を信用しない。頭は決して良くないかもしれないが、人を見抜く眼力だけは十分に養ってきた。それからもうひとつ、金銭の増殖に関わる飽くなき野望にも関わらない。自分の体力も能力も明確に把握している。それ以上の欲望と欲求はそのまま自己破壊へとつながる。「身の丈」に合った生き方、つまりは丁度「良い加減」が適しているのだ。
甲山羊二.